TEL. 080-3245-5115
〒121-0812 東京都足立区西保木間1-6-5
代表:田澤義彦 Yoshihiko TAZAWA
代表:田澤義彦 Yoshihiko TAZAWA
大学生や高校生および留学生を主な対象として,分かりやすい数学教材の提供と数学教育の支援を会社の方針としています.
理工系の大学生諸君や高校生諸君にとって数学は大事な基礎科目ですが,大部分の諸君にとっては数学そのものよりも,自分の目指す専門科目のための準備としての数学,つまり応用数学が主たる関心事でしょう.ここ30年余りで応用数学を取りまく環境は大きく変わりました.コンピュータのハードウエアとソフトウエアの急速な進化がその理由です.卒業後にどんな職業に就こうとも,仕事の上で微積や線形代数の計算を手でやるようなことは,例外的な業種を除いて今はないのです.
一方では科学技術の発展は,あらゆるタイプの数学の知識を要求しています.たとえば一昔前なら数学専攻の学生や院生のみが学んでいた「ガロワ拡大体」が,いまでは情報系の学部生が「誤り訂正符号」を学ぶ際の基礎知識になっています.
このように理工系の学生・生徒が数学を学ぶ環境が激変しているにも関わらず,数学の学習に際して旧態依然とした忍耐と苦痛を強いられているのではないか,それをなんとか緩和できないのか,というのが40年近く数学教師をしてきた私の率直な感想です.つまり基本的な概念を,時間をかけてゆっくり理解することが大事だと思うのです.それはまた,数学の発展に要したゆったりした時間の流れと,私たちがそれを短期間で学ぶ速度の差を思いやるということでもあります.
その感想に基づいてこの千住数学工房を設立してほぼ13年経ちました.この間に会社としてやったことは,教育支援としては,入学前教育・学習サポートセンターの受託です.教材としては,製本型のテキストの作成,電子出版のテキスト作成とビデオ講義のアップロードです.教材はCG(コンピュータ・グラフィックス)を活用した概念の視覚化を多用し,ビデオ講義も従来のように黒版を使った講義を収録しただけではなく,CGアニメーションも多用してディジタル化した映像です.このような教材作成方法は,新型コロナの影響で対面授業だけでなくオンライン授業が必須となったここ2年ほどの授業形態の,いわば先駆けとなったものと自負しております.
上記のテキストとビデオ作成には,数式処理ソフト,つまりコンピュータを使って数学を処理するソフトウエアの代表格であるMathematicaを重用してきました.Mathematicaは1988年のリリース以来進化を続け,現在バージョン13です.一方で近年の人工知能の進展も著しく,その応用として2023年に発売されたChatGPTは数学を含む広い分野をカバーする汎用性の高いソフトウエアです.高校生や大学生にもChatGPTを数学の学習に手軽に使ってるのを見受けますが,それには注意が必要です.ChatGPT自身が説明しているように両者の違いは次のようなものです.
・Mathematica:数理エンジンで記号計算・数値計算・可視化を正確に実行することが本質.
・ChatGPT:説明・対話エンジンで数学について語り,理解を助けることが本質.答えは必ずしも正確ではない.
学生には「数学を勉強するときにChatGPTを使うのはあくまでも補助にとどめるべきで,最後には自分の頭で確認することが大事だ.先輩の説明を聞いて分かったような気になったとしても,先輩は時々間違えるからね.Chatはチャットだからね」と説明しています.
理工系の大学生はChatGPTではなくMathematicaに慣れたほうがよい,という観点から昨年度後期試験的にMathematicaミニ講義をサポートセンターの中で始め,今年度はまとまった形にするつもりです.理工系大学の数学教育がどのように進んでいくのか大いに関心のあるところです.

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